■譲渡する相手が決まっているケース
Oクリニックの院長は60代後半の小児科医ですが、親族内に跡継ぎがいないため、元気で経営もうまく行っているうちにクリニックを継いでくれる医師を探した方が良いと考えられ、医局経由で候補者を見つけてこられました。
しかし、具体的な譲渡価額やその他の条件交渉、必要な手続きの全てをご自身で行うのは難しいとご判断され、弊社にご相談をいただきました。
譲渡相手が決まっているケース
譲渡

譲渡者 | Oクリニック |
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所在地 | 九州北部 |
事業内容 | 小児科クリニック |
売上高 | 約2億円 |
譲渡希望の事情 |
譲受

譲受者 | F医師 |
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勤務地 | 福岡県 |
事業内容 | 勤務医 |
譲受希望の条件 | ■売手・買手側それぞれにコンサルタントがついているケース |
成約
今回は、売手と買手が決まっており、マッチング後の交渉・手続きの支援をご相談いただいた事例でした。相手先さえ見つかれば、あとはトントン拍子でM&Aが成立しそうではありますが、譲渡条件よりも先に相手先を決めてしまうことにより、交渉が上手くいかないケースが、実は多くあります。
買手側から「買いたい」という意思表示をもらっても、「実際に買えるか」は条件を提示してみないと分かりません。譲渡金額の折り合いがつかなかった、買収資金調達のための銀行融資がつかなかった、スケジュール感が合わなかった、後からマイナス要因となる情報が出てきた、など、交渉がブレイクする要因は多岐に渡ります。
また、譲渡条件よりも相手先を先に決めてしまった場合、条件はその相手先が許容できる範囲におさめないといけません。その結果、条件に合う相手先を一から探すよりも、譲渡条件が低くなってしまうことも少なくありません。
今回のケースでは、出来る限り引き継ぎやすい条件で、と売手側が条件設定をかなり譲歩したこと、買い手側のF医師が、出された条件のほぼ全てを了承されたことから、主張がぶつかる場面もなく、和やかに交渉が進みました。
また、売手・買手側それぞれにコンサルタントがついている場合、条件交渉を一からやると、双方の専門家の見解の相違で交渉が拗れることもありますが、今回は、買手側に寄り添った条件提示であることを理解いただいており、終始協力的な体制を取っていただけたことでスムーズに交渉が進みました。
今回は、経営状況が大変良いクリニックであるにも関わらず、検討しやすい条件提示をされていたため上手く交渉が進みましたが、譲渡条件が決まっていないまま先に相手先を決めてしまうと、揉めたり、トラブルになるケースが多くありますので、注意が必要です。